季節外れの花見

ここ数年、お花見という酒宴に全く縁が無いなぁ〜と、ふとそんなことを思った。

もちろん酒宴は嫌いじゃないし、お誘いがなかったということも無いのだが、満開の時期に都内にいないということが、ここ何年か続いていただけだったのだ。
当然、旅先では満開の桜を眺めたし、桜の花が咲き誇る様を眺められるお店で食事をしたことは何度かある。しかし「花見をした」イコール”皆でワイワイと飲んだ”であるからw、そう言い切れるようなものは何一つ無く、来年こそは満開の桜の下で 缶ビールくらいは飲んでみたいものだと熱望しているのです(笑)。

 

さて、あまりブログ上で作品の話を書くことは無いのですが、今日は少しだけ そんな話を。

3年ほど前に、代理店の方から連絡をいただき、深夜に とある都内の制作会社さんで打ち合わせがありました。事前に内容を全く聞いてなかったのですが、席に着くなり代理店さんから「コレを見てください」と手渡されたのは、アイマスクを大きくしたような、昔の水中メガネのようなゴーグル。

それを着けると、いきなり動画が始まりました。
360度、どこを見ても目の前のものが手で掴めそうなリアルさで、思わず大きな声が出てしまったくらい驚いたのです。

全てを見終わったとき、なんだかドッと疲れました。現実と仮想の区別が付かず、いきなり見せられたものに対する衝撃だけが残ったような感覚です。
すると代理店の方が「我々は、これからコレを作っていこうと思っています。おそらく数年後には話題になるコンテンツになっています」と。そして「我々とコレを一緒にやりませんか?」と言われ、またまた驚いたのでした。

が、お話を聞いている中で「なんらかの事情で旅行に行けない人や海外の人にも実際に現物を見たのと同じような映像を観て貰える」と仰ったのを聞いて、「ぜひ、やらせてください!」とお返事をしたのです。

 

どうせならお世話になった方々に一番に伝えたいと思い、翌年も翌々年も制作会社の方と全国を回り撮影に立ち会ってきました。
撮影されてるのを傍で見ながら、「こういうシーンは こういう音かなぁ」とか、「この風景はピアノで艶っぽく支えたいなぁ」などと、訪れた先で様々な回想を巡らせていたのですが、”Youtubeが360度対応”というニュースがリリースされた辺りから、周りがザワザワし始め、そして 最初にお話を聞いてから2年ほどで<VR(360度動画)>というコンテンツの普及と市場が あれよあれよと言う間に確立されていくのを、驚きながら見ていたのです。

もう今ではアチコチで見かけるようになったVRですが、私が関わらせていただいた作品(コンテンツ)がようやく発表され、その世界水準クオリティでの導入は全国の行政で初ということもあって、発表のあった昨日以降、かなりなスピードで色んなニュースが届き、喜んでいます。

作曲をしてくれた花*花のこじまいづみさんや、MIXをしてくださったformの森元さん、ストリングスを担当してくれた伊藤ハルトシさん・吉田篤貴さんのお陰で、素晴らしい作品になったと思ってますし、ナレーションを担当された声優の近藤 隆さんの声もドンピシャで、こんな素敵なコンテンツに編曲・RECディレクション・プレイヤーとして参加させて貰えたことをとても感謝しています。

無料のアプリをダウンロードすれば、スマートフォン・ユーザーの方ならご覧いただけるので、ぜひこの世界観を味わってみてください。
来年は・・・というか、これからはいつでも、缶ビールとVRビューアさえあれば花見が出来るなぁと、そんなことを企んでいます(笑)。

VR CRUISE

 

久しぶりにアルバムリリースのことで 渋谷にあるディストリビューター(流通会社)さんに某Pと伺いました。
なかなか元気のない音楽業界の中で、その会社は とっても活気があり、誰一人として”ダラダラ歩いてる”なんてことは無く、とても空気の良い会社で驚きました。

まだまだ こんな元気のある会社があるんだなぁと思い、「よし、また しっかり頑張ってみよう」と思ったのでした。
うん、まだまだヤれることイッパイあるなと。

そんな嬉しい出来事もありつつ、明日からVRコンテンツのリリースで制作関係者として海外で頑張ってきます!

がまだします!

家族同然の付き合いをさせて貰ってる心友と電話で話してた折、「震災で損壊した家から引っ越すことにしたが手が全然足り無い」と聞いた。
スケジュール帳を見る・・・・・よし、行けるかも!と、急遽 飛行機や宿泊の段取りをし、5日間を熊本で過ごしてきた。

翌日の早朝から作業がスタートしたのだけれど、地震で損壊した家屋は 雨のたびにバケツをひっくり返したような雨漏りをしていたらしく、床も畳もボロボロで 埃だらけ、おまけにダニまで大量発生していたものだから、すぐに両腕は赤い小さな斑点が数え切れ無いくらいできて痒みが止まらなくなった。
その上、初日から最終日までほぼ30度超えの毎日で、あまりの暑さに防塵マスクをしていると呼吸が苦しくて倒れそうになるくらい。汗は滝のように流れるし、耳元では蚊の羽音が絶えず鳴っている。
そして大量に積み込んだトラックを運転して産廃処理場まで何往復もしている間に日焼けで腕は真っ赤。連日12時間以上ずっと動きっぱなし、疲労感プリタツで宿舎に帰り、また朝になると現場に出かける、そんな毎日が帰京するまでずっと続いた。

作業開始から3日目の夕方、心友は ようやく新居でガスが使えるようになり、張り詰めていた緊張が少しだけ解れた。それまで毎日、ガスすらも使えない自宅で水風呂で体を洗う毎日だったことから考えると、大きな大きな進歩。
3LDKの一軒家から8帖のワンルームに引っ越すことにはなったけれど、それでもベッドで寝れて温かいシャワーも使える毎日が、どれだけ精神衛生上 良いことかというのは、現地を見ていない人にもご理解いただけると思う。
そんな状況の中でも 毎日 笑い続け、自分のことより他人のことを優先して取り組んでいたことに 心から尊敬の念を持った。

彼だけでなく、今回 熊本で会った多くの人たちから感じた熱量や前向きな気持ちからも、本当に多くのものを学ばせて貰いました。
ありがとう。

 

 

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帰京する数時間前、現在は立ち入り禁止区域に指定されている熊本城周辺に 特別に入らせていただいた。
テレビの画面で見てはいたが、実際に見ると、あの雄壮だった熊本城の天守閣や櫓・城壁が無残なまでに崩れ、しかし その状態にあっても必死に建っているように見えて切なくなった。
ある時期は、数ヶ月間 毎日のように行っていた熊本城や清正公を祀った加藤神社の思い出や 何もなかった頃の風景が浮かんできて、凝視できないほどだった。

突き抜けるような青い青い空と、損壊した熊本城の姿が、今でも目に焼き付いています。

 

 

今回の震災で大きな被害を受けた熊本、そして東日本大震災で甚大な被害を受けた女川町や石巻市など、これからも自分に出来ることで 長く関わり続けていきたいと思っています。