いつのまにか満開になってた桜に気づき、かき醤油味の付いた広島のりを巻いたのと [旅行の友] をまぶした 朝メシ代わりの握り飯を持って隅田川沿いへ出かけた。
新しい元号が発表になるという前日だからか、やはり花見シーズンだからなのか、例年にも増して賑やかな川沿いの桜の根元に腰をおろした瞬間、ようやく<3月>から解放され、少しだけ背負っていたものを降ろせたような気になれた。

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昨年1年間のほぼ毎日 ずっと向き合わせてもらっていた映画の公開に合わせて、熊本と広島の舞台挨拶に監督や役者さんらと同行させていただいた。
色々なご縁をいただいている熊本だが、初めてお邪魔した立派な劇場では大変手厚いおもてなしを受け、上映後に劇場に入ると 見知った顔も多かったのだが、その殆どの方の眼から涙が溢れているのを見て 心から有難く思った。

広島の劇場は公開3日目だったが 満員で、万雷の拍手の中で舞台挨拶が行われ、その熱量が上映中に どのように変わっていくのか どうしても見たくて、劇場の方に無理を言って席をご用意いただき、来場されてたお客さんと一緒に観させていただいたのだが、エンディング・ロールが流れ始めたあたりで 隣にいらっしゃった俳優の眼 鏡太郎さんは声をあげて泣いてらっしゃった。
約1ヶ月間、南大隅町で合宿生活のような撮影を経て、こうして超満員のお客さんの熱を目の当たりにしたことで その感激も一入、”冥利に尽きる”とは こういうことなんだとお感じになられたらしい。
[ カメラを止めるな] など、ヒット作品にも多くご出演されてる 脂のノった役者さんだが、そんな人ですら感激してしまうほどの劇場内の熱量を感じれたことは オレ自身にとって とても大事な経験になった。
眼さんのお陰で オレは泣くタイミングを完全に外してしまったが (笑)、眼さんの涙は とっても綺麗な、そして責任感のある涙だった。

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都内に戻り、2週間ほど籠ってデモを仕上げてからは ひたすら採譜の日々が続いた。
2年ぶりとなる【ザギンdeユーミン】が銀座TACTという由緒あるライヴハウスで開催されることになり、十数曲の上モノの音を拾ってはリアレンジしていく・・・という作業は 一朝一夕・右から左に出来るような簡単なことではない。
が、細野晴臣さん・松任谷正隆さん・佐藤博さんらが40年前に組み上げられた編曲のイメージをトレースさせていただける機会なんて そうそう無い。
なかなか大変な作業だったし 本番前日に使う予定だったシンセが いきなりブッ壊れ、BANKデータなど全てフッ飛んでしまうという頭真っ白・衝撃的なこともあったが、ライヴは超満員、とても楽しくやらせていただいた。

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Photo by Tokiya Utanaga

 

「3月もあと5日ほどで終わる、残りの日々は 作業場の片付けなどもしながら 少しゆっくりして新年度に臨もう」と思っていた矢先、療養中だった知人の訃報が入った。
46歳、まだまだ これからが人生本番という中で、ご本人も頑張ってらっしゃったのだが、容体が急変して そのままお亡くなりになった。

月に一度 プレイさせていただいてた渋谷のクラブのキッチン・チーフだったのだが、彼女の作るフードは 何を食べても美味く、そして目立たないように手の込んだ料理を作る名シェフだった。
どセンターにヴォーカルがいて、オケの出入り・パンの振り方などの定位感が とってもよくまとまってる音を聴いてるような、・・・そんな音楽的な料理を作れる数少ない人だなぁという印象をオレは持ってた。
ご主人もDJだからか、選曲や繋ぎにも非常に敏感で、プレイを終えてバーカウンターに行くと キッチンから出てきて「サイコ〜」とサムズ・アップしてくれた日にゃ、嬉しくなって その後のオレの酒量は自然と増えるのも当たり前w、今でも”亡くなられた”という気がしない。

 

でも、・・・でも、隅田川沿いにしゃがんで 握り飯を片手に キラキラ光る水面を見てたら ふと「桜の時期になると彼女のことを思い出すようになるんだろうな」と、思った。

 

 

なんだか 色んなことがあった3月が終わった。

 

平成という時代が終わろうとする間際に、いろんなものを背負わせていただいたような気がする。
喜びや悲しみ、腹の底でグッと抑えた怒りや どう感情で表現すれば良いのか分からないようなこともあった。そして、色々な”表情”もたくさん見せていただいた。
この1ヶ月に感じたり見たりしたことだけでも、自分自身の情緒が随分と豊かに・幅広になるのではないかと意識してしまうくらい。
色んな意味で 豊かな日々を過ごさせて貰ったのだと思う。

 
さて、己に出来ることを精一杯、そして出来るか出来ないかスグには判断できないような高いハードル越えもガムシャラに、
ここから またギアを1段階も2段階もあげて、もっともっと強く進んでいきたいなと思うのです。

 

新たな時代の幕開け、令和元年も どうか宜しくお願いします。