無題

多くの友人や、大変お世話になった方の住む熊本で大きな大きな地震があった。
これまで多くの地震に関するデータを持つ気象庁ですら「今後の展開が予測できない」と発表するほどのもので、被災された方のご苦労や不安は計り知れない。

今回の地震で亡くなられた方のご冥福と、今もなお続く避難生活をされてらっしゃる方々が 1日でも早く安堵の日を迎えられるようお祈りいたします。

 

5年前の東日本大震災のときもそうだが、大きな自然災害によって、予測不可能な多くの悲しいことが起こると、無力感でいっぱいになる。

今回の熊本で最初の大きな地震が発生したとき、オレは作業場で、これまでの自分のキャリアの中で一番手強いなと感じる作品を<混声合唱曲に編曲する>という最中だった。
大御所作家さんの作品に賭ける思いや力技を痛感し、そしてベテラン編曲家さんの抒情性に富んだ、計算され尽くしたアレンジに心を折られそうになりながらも、それでも今の自分の全てをぶつけてみようと もがきながら、ようやく自分でも納得のいくピアノが出来上がったので、夕方頃からずっと6声の仮歌を入れているときに そのニュースを知った。

すぐに熊本在住の友人知人の安否をFBメッセンジャーの無料通話で確認。
最近、少々SNSに疲れていたのだが、こういうとき、またSNSの便利さを知ることになる。
2時間ほどで全員と連絡が取れ、被害の大きさは聞いただけでも身震いしそうなものだったが、とにかく無事が確認できて胸をなでおろした。

それから数日間、停電でテレビが見れなかったりニュースを知ることのできない友人たちに、いつでも連絡できるようにと、朝方まで起きている状態が5日ほど続いたが、「自分がすべき目の前のことをきちんとやっていこう」と、なるべく普段通りに作業を続けた。
すぐにでも飛んでいき、何か少しでも出来ればと思ったのだが、都内に残った理由については また別の機会に。

 

あれから12日、なんとか作品が完成し、作家さんのOKをいただけた。
東日本大震災の被災地を訪れた際の風景を康 珍化さんが詩にされ、BOSSが曲を書かれた作品、《秋日傘》。

秋日傘ジャケ

作業中、毎分のようにメディアから流れてくる哀しいニュースや 数え切れないほど続く余震の続報、友人たちの日々の暮らしについての情報、何も役に立てない自分の無力さへの苛立ちや情けなさ、そして東日本大震災後に出逢った多くの人たちへの想い、それらひとつひとつを心の中でギュッと握りながら、想いのすべてを込めて編曲させていただいた作品になったと思う。

奇しくも、この作品を最初に歌われるのは、東日本大震災を経験した、宮城県にある、全校生徒16名のとある中学校の生徒さんたちである。

今、思いつく限りの、すべての人たちに幸あれ、と心から思う。

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